SpaceXで好成績を収める大学基金にイェール大学も加わる

イェール大学の2026年度運用益の4割近くはSpaceXによるもの。ヘッジファンド経由のエクスポージャをMPIが推計する。

イェール大学基金の2026年度リターンは26.3%を記録し、SpaceXの恩恵を大きく受けた主要大学基金のうちの一つとなりました。MPI Stylus PROを用いたリターン・ベース分析の推計によると、SpaceXの寄与は約10パーセントポイントで、イェール大学の年間運用益の4割近くに相当します。なお、この寄与度は通常のベンチャーキャピタル(VC)ファクターで説明される分とは別に、独立して発生したものです。

図. 2026年度大学基金リターンに対する寄与度推計(単位:%pt、MPI Stylus PRO推計) イェール大学とペンシルベニア大学では、SpaceXがいずれも約10%pt寄与した。この寄与は、一般的なベンチャーキャピタル(VC)ファクターで捉えられる分とは別に生じたものである。なお、各ファクター寄与度にモデル上の残差(Selection)を加算すると、各校が公表した会計年度リターンに一致する。

我々の推計によると、イェール大学におけるSpaceXの寄与度はペンシルベニア大学と同水準でした。これを上回るのがスタンフォード大学とノースカロライナ大学(UNC)で、ハーバード大学はやや下回る水準にとどまっています。また、イェール大学の推計エクスポージャの時系列推移はペンシルベニア大学と非常によく似た軌跡をたどっており、両校が共通の投資ルートを経由してエクスポージャを得ていた可能性がうかがえます。

公開情報がその重要な手がかりとなります。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の5月の報道によると、イェール大学とペンシルベニア大学はダーサナ・キャピタル・パートナーズ(Darsana Capital Partners)の顧客であったとされています。同社は2019年に初めてSpaceXへ投資したヘッジファンドで、報道時点で運用資産の60%近くをSpaceX株が占めていました。またこれとは別に、Old Well Labsもペンシルベニア大学がダーサナの主力ファンドへ出資約束を行っていた事実を確認しています。

こうしたつながりは、下図の「Stylus PRO」による分析において、イェール大学とペンシルベニア大学の直近におけるSpaceXエクスポージャの推移が酷似している結果と一致します。

ただし、公開情報のみでは、両校がダーサナを通じてどれほどの規模を投資したのかまでは特定できません。また、2019年のダーサナによる初投資より前の時点で、モデル上でエクスポージャが検出されている理由についても説明がつかないのが現状です。

図. VCベンチマークを超えるSpaceXエクスポージャの推計値(MPI Stylus PRO推計)イェール大学の推計エクスポージャはペンシルベニア大学とほぼ重なる。2026年度の両校の数値は、スタンフォード大学とUNCを下回るものの、ハーバード大学を上回った。なお、これらの推計値は経済的感応度を示すものであり、実際の開示保有額ではない。

SpaceXなどの個別企業やAIといったテーマへのエクスポージャは、未公開株や上場株、オルタナティブなど複数の枠組みに分散して存在します。そのため、単なる資産クラス分類だけでは把握しにくい集中リスクが発生しがちです。リターン・ベース分析は、ポートフォリオ全体の経済的エクスポージャを推計し、実際の運用が意図通りの分散と一致しているかを検証できるため、ポートフォリオの品質管理(QA)をチェックする重要なツールとなります。

※なお、今回の比較にはワシントン大学セントルイス校(WashU)を含めていません。同校については、続報をお待ちください。

ディスクレーマー

MPIはパフォーマンスベースの分析を行っており、公開されているファンド情報以外の投資戦略のクオリティあるいはメリットに関してコメントは行いません。また当該ファンドの実際の投資戦略、ポジションあるいは保有情報を知ることを要求したり示唆するものではありません。この分析は、ファンドのリターンのみを使っており、実際の保有情報は反映しておりません。あらゆる定量分析に固有の分析と実際の保有、また/あるいはファンドによる投資決定との乖離が予想されます。本レポートは、MPIが信頼できると判断した情報源から入手した情報をもとに作成しておりますが、当該情報の正確性を保証するものではありません。情報提供を目的としたものであり、本ファンドの勧誘のために作成されたものではありません

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