適切なファンド選択:一般的なマネージャ選択の盲点

MPIスタイラス11.4の新機能である”レジームに基づいた投資リスク分析”を使用して、一般的なマネージャ選定における投資家の盲点とその重要性をご紹介します。

2018年2月5日、VIX指数は、上場来過去最大の上げ幅を記録しました [1]。VIXのレベルは直ちに低水準に戻りましたが、この出来事により投資家の懸念が高まり、安心感から長年にわたり極めて低かったVIXのレベルは、今後さらに引き上がるように思われます。

さて、このレポートでは、さまざまな市場レジームに基づいたパフォーマンス分析が、短期(タクティカル)・長期(ストラテジック)でのポートフォリオ配分のためのマネージャ選定をいかに改善させるかをご説明します。

下のチャートは、過去10年間のLarge Cap BlendのミューチュアルファンドとETF(合計318本)をユニバースとし、株式オプションのボラティリティをもとに算出されるCBOE VIXを3つのレジーム(Low ,Moderate ,High)別に表しています。

Risk_Return-VIX-Regime-7.30.18

例えば、ボラティリティの上昇など市場環境の著しい変化は、ポートフォリオ内のファンド適性を再評価するためのトリガーとなります。一般的なマネージャ選定 [2]では、ヒストリカルリターンによるトータル期間で算出されたリスク調整後のパフォーマンスのみに重点を置いています。トータル期間の分析だけでは、そのファンドがたどった軌跡とパターンを捉えることは難しく、その適性を評価することは困難です。正しく再評価するためには経済レジームに基づいた側面を加えることで、市場環境の変化に対応した感応度が追加され、ファンドの評価に望ましい特性を加えることができます。

このアプローチを例示するために、US Large Cap Blendピアグループに一般的なマネージャ選定とボラティリティのレジームベースの2つのスクリーニングアプローチを適用します。一般的なマネージャ選定のアプローチは、最も高いリターンとシャープレシオを有するファンドを選択し、10年間にわたり最も変動の大きいファンドが除外されます。ボラティリティのレジームに基づくアプローチは、3つのVIXレジーム(Low ,Moderate ,High)すべてにおいてリターンとボラティリティの安定した、最高のファンドを選択します。これは、個々のレジームで最も安定性の低いボラティリティを示すファンドを除外することを意味します。各選定で選択されたファンドは下のチャートのように、レジームベースのリスク/リターンチャートでハイライトされています。

Risk_Return-VIX_Typical-vs-Regime-7.30.18

一般的な選定では20本のファンド(オレンジ色で表示)を選択し、レジームベースの選定では28本の(青色で表示)ファンドを選択します。両方の選定によって識別されるのは11本のファンド(赤色で表示)となります。これらの11本のファンドは、レジームに基づいた分析によって「推奨」された典型的な選定の成果であると考えられます。

例えば、将来ボラティリティの上昇が予想されるが、強い信念がないまま運用されている場合、すべてのレジームで比較的良好なパフォーマンスをおさめたマネージャを、それぞれのレジーム区分から選択できます。しかし、将来の市場ボラティリティに関して強い確信を持っている場合は、特定のレジームに重点を置き、前者とは異なる結果を選択するでしょう。

個別ファンドの相違点を検討するために、一般的な分析とレジームベースの分析の両方でより詳細な分析を行ってみましょう。以下では、期間全体にわたってリスクとリターンの特性がほぼ同じの2つのファンドを選択しています。ファンドA(オレンジ)は一般的な分析だけで捉えられたのに対し、ファンドB(赤)は一般的な分析とレジーム分析の両方によって捉えられました。

Annual-Return_SDev_Typical-vs-Regime-7.30.18

ファンドAとファンドBは、過去10年間ほぼ同等のボラティリティでベンチマークであるiShares Russell 1000 ETF(青)を若干アウトパフォームしています。

今度は、各ファンドの過去10年のリターンの推移をより詳細に見てみましょう。以下のチャートは、異なるボラティリティレジームによる各ファンドの累積超過収益率を示しており、ファンドBがファンドAよりもはるかになだらかな軌跡をたどっていることがわかります。

Excess-Performance_VIX-Regime-7.30.18

さらに、左下の超過リターンチャート(対iShares Russell 100 ETF参照)では、ファンドAは低ボラティリティレジームでベンチマークを大幅に上回っており、高ボラティリティレジームでは下回っていることがわかります。ファンドBはきわだって異なるパターンを示し、高ボラティリティレジームで上回り、中ボラティリティレジームで下回っています。このファンドは、市場の混乱期間ではヘッジ対応と見なされ、変動の少ない期間にはほとんど見放される可能性があります。右下のボラティリティ(標準偏差)チャートでは、ファンドAが低ボラティリティレジームの期間、高いボラティリティを示していることを除けば、ボラティリティはそれ自体、すべてのレジームにおいてほぼ同一でした。

Excess-Annual-Return_Annual-SDev_Typical-vs-Regime-7.30.18

このように、一般的な分析とレジーム分析の両方を検証することにより、ファンドの軌跡とパターンをより明確に捉えることができます。

ファンドの選択には汎用的なプロセスはなく、さまざまな要因分析を検討をすべきです。しかし、マネージャ選定プロセスではレジーム分析を追加することに明確な利点があります。投資家がタクティカルで、短期的な目的のためにマネージャを選択する場合、より高い(またはより低い)ボラティリティなど、近い将来発生する可能性が高いと思われる特定のレジームに重点を置くことを望むかもしれません。またレジームの方向性に確信を持たない投資家で、ストラテジックポートフォリオのファンドを選択することを望む場合には、ポートフォリオが長期的に避けがたい状況下でも、理想的な安定したファンドを特定するために別のレジームを使用してファンドを選択するかもしれません。

また、それ以外では、VIXの変化に対し個別ファンドがどのように反応するか、あるいは他の市場インデックスまたは経済的要因に対する理論上のショックに対する反応を見るために、さらに詳細な分析も可能です。この内容につきましては今後のレポートでも引き続き発信していく予定です。

------------------
  1. Horowitz, Julia and Egan, Matt. “Market Fear is Back in A Big Way.” CNN Money, February 5, 2018. クリックして読む []
  2. Grind, Kirsten; McGinty, Tom and Krouse, Sarah. “The Morningstar Mirage.” The Wall Street Journal, October 25, 2017. クリックして読む []