ハイイールド債券ファンドにはさらなる流動性の危険があるでしょうか? ダービン・ワトソン統計値で確認してください

2015年の冬に、ほとんど前例がない状況が起こりました。通常、日々の流動性を保証しなければならない投資信託が、投資家の資金の引き出しを阻みました。
The Third Ave Focused Credit Fund (TFCIX), citing losses and a lack of liquidity in the high yield bond market, put some of its assets into a trust to be sold over time
日本語訳

ハイイールド債券ファンドのような非流動資産に投資する投資信託については、流動性は大きな懸案事項です。流動性を提供するために、より多くの投資家が同時に現金化しようとすれば、ファンドは特売価格でその資産を売ることを強いられるかもしれません“仮に買い手を見つけることができたとしても”。フィッチは2016年度末までに900億ドルのハイイールド負債がデフォルトになる可能性があると予測しました。またその間S&Pグローバルも投資不適格デフォルトレートが、2017年の第1四半期末までの12ヵ月間で3.8%から5.3%まで上がると予測をしました。さらに、Lehmann Livian Fridson Advisorsは、ハイイールド負債の回復率(破綻時の元金の一部と利息回収部分)は、46%のヒストリカル平均を下回り、2015年は34%まで下落すると予測しました。少ない回復率での多くのデフォルトは、ハイイールドファンドの投資家に非常ボタンを作動させたかもしれません。昨年9月、とうとうSECはファンドの当面の流動性コストを既存投資家と解約者で按分することにより、ファンドの基準価格の調節を可能にすることを認可しました。これによりハイイールド債券ファンドの投資家はより多くの困難に直面するかもしれません。もし大幅な下落局面で速やかな売却ができないのであれば、そのファンドは日々の流動性を提供する能力を偽っていることになるからです。

債券ポートフォリオの流動性を測定することは困難な課題です。流動性を測定するには、すべて債券のサイズや発行年月を認識していなくてはなりません。新発で大型の発行体は非常に高い流動性あり、一方、残存期間が短く残高も少ない発行体は多くの場合十分な流動性を確保できない傾向があります。商品タイプも非常に重要です; ストラクチャード・プロダクトおよびクレジット・デフォルト・スワップの流動性は、金融危機以来急落しました。そのうえ、より厳格な資本規制および増大したリスク回避が、投資家の社債とハイイールド債への投資意欲を減退させました。

※世界的な低金利は、流動性の測定に別の影響を与えました。それは架空の世界での出来事のように、通常ではbid-ask spreads(売買スプレッド)、transaction slippage(約定価格のズレ)、dealer inventories(ディーラー在庫)のような質量ともに簡単に入手することができないデータや情報が価格形成に結びつけられました。しかしながら、より特殊なファンドの流動性を測定するには、マネージャの取引価格や取引量など一般に公開されていないデータがまだまだ必要です。

しかし、ダイレクトに流動性を測定するためのデータは入手することが困難です。そこで、我々は詳細なデータのかわりにファンドの時系列リターンを使用して流動性の測定を試みます。流動性の低い有価証券の取引価格は、まばらな間隔(不規則)に記録されます。たとえば、ハイイールド債券は、ディーラーのOption Adjusted Spread(OAS) [1]からの引用値か直近の取引価格のいずれかを参照します。しかし、直近の取引価格も取得価格も利用できない場合は、過去のOASが参照され、それは、その債券価格が残存期間や金利の時間的変化や他の価格構成要因を反映していないことを意味します。これは、その債券の時系列リターンが自己相関を引き起こし、その結果、ポートフォリオ全体にも同様の自己相関が当てはまることを意味します。したがって、自己相関の水準はファンドの流動性の水準と関係があります。 [2]

そこで、ダービン・ワトソン統計を使用して、ファンド流動性の評価を行ってみます。

DXY-Arrows

投資対象ファンドの流動性を評価するために自己相関を使用することができます。 [3] [4]自己相関には、ダービン・ワトソン統計があり、これは非常に有用で、計算も簡易です。また、それはファンドの中で特に流動性に乏しいものを評価するのに役立ちます。

ダービン・ワトソン統計は、0~4の値で評価されます。明確な自己相関を示す場合はゼロに近い値、ほとんど自己相関を示さない場合は2近くの値を示します。(ファンドの時系列リターンとその同じリターンから共通の間隔を持つ時系列リターンをつくり、2つの系列的関連により自己相関の有無を確認します。)上記のチャートは、モーニングスターのデータベースからハイイールド債券ファンドを161本抽出し、Y軸に過去3年の月次リターンからダービン・ワトソン統計値を計算しプロットしました。その結果、Third Ave Focused Creditのリターンが最も低い値(ダービン・ワトソン値)を示しているので、自己相関の度合いが高いことが分かります。X軸上には純資産額をプロットしました。純資産額の大小はチャートが示すように、小さいファンドも大きいファンドも自己相関の傾向値はなく、純資産の大小は非流動性とは関係があるようには見えません。また、黒い線(有意水準)以下のファンドは、非常に有意な自己相関があると推測できます。

近年のハイイールド市場の強力なパフォーマンスは投資家の注意を引きました。しかしながら、市場の流動性が非常に脆弱である状態で、投資家はファンドマネージャが非流動的な有価証券への投資を行っていることを十分理解する必要があります。ハイイールド債券ファンドに投資する方々が、ダービン・ワトソン統計により流動性リスクに対しより敏感になりえることを信じます。

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  1. Option Adjusted Spread(OAS)は債券の信用リスクの尺度で、価格に反比例します。 []
  2. 低い流動性が自己相関の唯一の原因ではありません。しかしながら、論文ではヘッジファンド・リターンには概して自己相関が存在することを示しました。その自己相関リターンには、the counter securities, window dressing、performance smoothing, marking to model, non-synchronous trading, fraudulent accounting, momentumunexploited market opportunities, time varying expected returns and time varying leverageの価格決定の難しさも存在します。 []
  3. 私たちは無条件に自己相関の測定を行いますが、概して、ファンドマネージャはリターンがマイナスの場合、パフォーマンスのマイナス部分をプラスのリターンから移し平らにすることがあります。そのような過去のリターンがマイナスであった場合にも自己相関となることがあります。マネージャの意図ではなく、ファンドの非流動的な性質にのみ注目するので、無条件な自己相関を確認します。 []
  4. ここでのケースのように、遅延した従属変数が回帰の一部である場合、ダービン・ワトソン統計は偏ります。そのベータがt検定によって正で有意であるならば、代替テストはファンドとその遅延間の回帰のベータを計算しチェックすることでしょう。我々はこのブログのハイイールドファンドのダービン・ワトソンとt-検定を計算して、両方のテストが互いに一貫性があるとわかりました。両方のテストは極端な外れ値としてThird Avenue Fundを強調しました。 []