その40%のリターンがお好み? まずはリスクを理解してからね!

7月20日付のウォールストリートジャーナルは、Quantitative Global Macro Fundとして2016年(1月~6月)の手数料控除後のリターンが40%に達した“Quantedge Global”を運用するQuantedge Capitalを特集しました。下図のように、主要なアセットクラスと比較した2016年(1月~6月)のパフォーマンスをみても際立った様子が確認できます。
(以下、Eurekahedgeのパフォーマンスデータより作成)

qtedge_perf-chart-1

記事でも引用された投資家向けレポートよれば、ファンドの驚異的なリターンは債券レバレッジに起因するものでした。そのようなパフォーマンスは、明らかに多くの犠牲を伴います。
**記事では30%の目標年率ボラティリティ(標準偏差)に言及しています。
下図で示すように、我々がこのファンドの過去36ヵ月間の月次リターンで分析した結果では、この数値は公表通り目標の範囲内にありました。しかしこれは、エマージングマーケットやコモディティなど他の伝統的アセットクラスのどれよりも高い数値でした。 

qtedge_vol-chart-2

そこで、我々は“Quantedge Global” と同程度のリスクを持った仮想ポートフォリオを主要なアセットクラスで複製することを試みました。上記のアセット・クラスでレバレッジを使用した40%のリターン(6か月)を持つポートフォリオは無限の組み合わせがあることは明らかです。しかしながら、そのような仮想ポートフォリオを毎月々にわたって模倣することが仮に36ヶ月分でも必要とするならば、非常に複雑なタスクになります。そのため、我々はこの分析を実行するにあたり動的スタイル分析(DSA)を使用しました。そして、下図のような結果が得られました。アセットクラスの組み合わせである「エクスポージャ」は、ファンドが実際に保有していたポジションではなく、最もよくそのリターンを模倣しているインデックスの組み合わせを示しています。この結果は、このパフォーマンス要因がどのようなファクターで構成されているかに興味もつ方々に有用な洞察を提供します。下のチャートは、DSA分析により過去36ヶ月間のパフォーマンスの揺れ動きを正確に捉えた仮想ポートフォリオです。

qtedge_exposures-chart-3

上記のチャートは、アセットクラスの組み合わせである“エクスポージャ”の推移を示します。ロングのエクスポージャは0以上を、ショートのエクスポージャは0以下で示されます。
ここでは、グローバルマクロのファンドの典型的な取引対象である、4つのアセットクラスを代表するマーケットインデックスとエマージング株式インデックスを選びました。仮想ポートフォリオ(Hypothetical Portfolio)は比較的安定したヒストリカル・エクスポージャを示しました。結果は、時間の経過にともない、先進国株式(Developed Equity)エクスポージャの緩やかな減少と債券(Fixed Income)の増加を示しています。一般的な投資ポートフォリオでは、T-Billのショートポジションはレバレッジを表し、借り入れたキャッシュは100%より上のアセットエクスポージャを増加させます。この仮想ポートフォリオのレバレッジは、約370%から290%と時間とともに徐々に減少しています。

qtedge_cumul-chart-4

上記のチャートは、仮想ポートフォリオ(Hypothetical Portfolio)とファンドの実際のパフォーマンスを示します。このように上手く捕捉ができていれば、この仮説戦略をもっともらしい結果として見ることができます。

さらに我々は、定量的なパフォーマンスの要因分析を行いました。下のチャートは、それぞれのアセット・クラスが仮想ポートフォリオの全体のリターンにどのくらい寄与したかを示します。結果はWSJの記事と同様に、年初来のパフォーマンスの要因は、債券のエクスポージャで占めていることが分かります。

qtedge_attrib-chart-5

最後に、「本当にこんなにすごいリターンが得られるのだろうか?」と疑いをもつ投資家に対する回答は「はい、それは可能です!」とお答えします。しかしながら、その極端なリターンがどのようにして達成されたか、また、その戦略に関連づけられた潜在的なリスクが何か?を注意深く見極めることが重要です。
そして、思い描いたポートフォリオを達成するためにどのようなアセットクラスを組み入れるかを知るには、定量的なパフォーマンス要因分析が効果的です。